臨床心理士・公認心理師の就職先にはどんな場所があるのか?
お給料はどのくらいもらえるのか?
実際、就職活動はどのように進めていけばよいのか?
M2のみなさん、心理系大学院に進学するみなさん、
もっといえば臨床心理士になりたいけど、実際の就職先はどうなの?
と考えているみなさん、大学院修了後の見通しを持つために、
現役臨床心理士・公認心理師が就職について紹介していきます。
大学院修了後の流れ
臨床心理士指定大学院修了後の流れを説明します。
臨床心理士指定大学院修了後、10月に臨床心理士試験が実施されます。
なので、まずはそこまで勉強をしなければなりません。
・修了した年の10月に臨床心理士資格試験を受験できる
例:2023年3月に大学院を修了した場合、2023年10月の臨床心理士資格試験に受験可能
・実務経験を1年積んだあとに臨床心理士資格試験を受験できる
例:2023年3月に大学院を修了した場合、2024年10月の臨床心理士資格試験に受験可能
第1種指定大学院、専門職大学院修了の人
第1種指定大学院、専門職大学院修了の人は、
試験までの約半年間、どう過ごすかです。
①非常勤で週1~5日程度で働きながら勉強をして過ごす
②勉強に専念して、試験後に就職活動を始める
③常勤で働きながら勉強をする
このどれかのパターンで動く人が多いです。
自分のキャパと相談して決めましょう。
筆者は、非常勤で週5~6くらい働きながら勉強していました!
クリニックでも勤務していたため、休憩時間が長く、
休憩時間を勉強時間にあてることができました!
休憩時間が長く、勉強ができることは、クリニック勤務のメリットだと感じました!
第2種指定大学院修了の人
第2種指定大学院修了の人は、実務経験を積まなければ
臨床心理士試験を受験できないので、実務経験を積むことができる
就職先を選びましょう。
臨床心理士試験までは、大学院を修了してから
約1年半ほどああるので、勉強の時間はたっぷりとあります。
臨床心理士の就職先
ここからは、臨床心理士の就職先には、どんな場所があるのかを
領域ごとに紹介していきます。
自分はどの分野で働きたいかを考えながら、見ていきましょう。
医療・保健分野
医療・保健分野では、病院などで、患者さんに対して
心理検査や心理療法を実施します。
また、デイケアで働くこともあります。
加えて、コンサルテーションなどを行うこともあり、
仕事は職場によってさまざまです。
職場例:精神科・心療内科・小児科などの病院やクリニック、保健所など
教育分野
教育分野は主に小学校、中学校、高校、教育委員会などで働きます。
教師へのコンサルテーションや、、生徒・保護者へのカウンセリング、
ときには適切な機関へのリファーすることがあります。
いわゆるスクールカウンセラーと呼ばれることが多いです。
職場例:スクールカウンセラー、教育相談機関など
福祉分野
福祉分野では、子どもの発達から高齢者、障害児・者への心理的援助を行うなど
対象年齢が幅広く、職場によって仕事内容が変わります。
職場例:児童相談所、老人福祉施設、療育施設など
労働・産業分野
EAPといって、「メンタルヘルス不調の従業員を支援するプログラム」
というものが近年注目されており、導入している企業も増えてきています。
従業員数が多い企業であれば内部EAPといって、
社内にEAPの機関を設置することもあります。
実際のところは外部EAPとして、EAPサービスを展開する外部機関を
利用するケースが多いようです。
このように、従業員のカウンセリングやメンタルヘルス教育、
コンサルテーションなどが主な業務内容となっています。
職場例:職場内相談室、ハローワークなど
司法・矯正分野
司法・矯正分野では、少年鑑別所や刑務所に入所している方々の、
矯正に向けてのカウンセリングなどを行います。
必要に応じて心理検査をとることもあるようです。
職場例:少年鑑別所、刑務所など
臨床心理士の就職活動の方法
ここからは、実際に就職活動をするときに
どのように動いていけばよいのかをお伝えしていきます。
都道府県の心理士(師)会に入会する
都道府県の心理士(師)会は、求人の情報が多く掲載されます。
医療系から公務員情報まで載っていたり、他の都道府県の
情報が載っていたりします。
(基本は所属の都道府県の求人情報が多い)
勤務形態は、常勤、非常勤、契約社員など、さまざまですので
自分の希望する勤務先が見つかりやすいです。
一つ注意点は、資格取得後じゃないと入会できない都道府県が多いので、
資格取得後はすぐに手続きをして、求人情報をゲットしましょう。
筆者は都道府県の心理士会で、求人に応募し採用されたことがあります。
不採用だったこともありますが…
気になる求人があれば、応募してみましょう!
教授・先輩のツテ
心理士業界でわりと多いのは、「ツテ」で決まることです。
ゼミの先生や先輩から「ここ募集してるみたいなんだけどどう?」と
声がかかることがあります。
普段から教授や先輩と仲良くしたり、やる気があるという
意欲をみせておくことが大切です。
筆者が最初に働いたクリニックは先輩の紹介で採用が決まりました!
先輩の紹介だと、履歴書を持って面接には行きますが、
「紹介」という部分で、ある程度の信頼は確保できているのか、
かたちだけの面接が多い印象です。
とはいえ、なめた態度で面接に臨むのは良くないので、
失礼にあたらない態度で面接に臨みましょう。
大学院の相談室
多くの大学院には相談室が併設されています。
相談室に求人の案内がくることもあるので、
相談室の求人や掲示板などもチェックしておくと良いでしょう。
外部には公開されていない求人が掲載されていることもあります。
実習先
実習先もまた、心理業界では多くあります。
心理系大学院生は、実習に行くので、行った実習先から
「就職決まってなかったらどう?」と声がかかることがあります。
常勤も非常勤もありえます。
ただ、タイミングと運なので、絶対に声がかかるとは言えません。
実習には、礼儀正しく、真摯な態度で取り組みましょう。
自分で探す
求人サイトから自分で探す方法もあります。
おすすめはindeedとジョブメドレー。
臨床心理士の求人は少ないのかと思いきや、意外と掲載されています。
Indeedは、放課後等デイサービスなどが多い印象ですが、
クリニックなどの医療系も掲載されているので、
求人サイトで探してみるのもありです。
タウンワークやLINEバイトで探していた時代もありました。
今の常勤の仕事は、Indeedで見つけて、面接→採用となりました!
心理士業界のお給料の話
みなさん、臨床心理士のお給料の話も知りたいですよね。
相場がどのくらいか、というのは知っておいて損はありません。
自分が職場を選ぶ際の一つの基準にしても良いと思います。
お給料の話は、自分の経験談をもとにお伝えしていきます。
医療系
筆者は、医療系だと、単科の精神科病院やクリニック、
総合病院の小児科などを経験しました。
筆者が働いた職場のお給料は、時給だと1000~2000円程度。
時給2000円は、筆者が働いた医療系の職場では最高額でした。
研修期間が終わると時給がアップしたり、時給が低いかわりに、
ボーナスが支給されるという職場もありました。
医療系の相場はおおむね、時給1000~1800円くらいでしょう。
常勤で勤務すると、時給換算すれば単価は低くなりますが、
社会保障や厚生年金など、保障があるので、常勤を希望する人も多いようです。
教育系
教育系では、適応指導教室やスクールカウンセラーを経験しました。
時給は2000~3000円ほどでした。
スクールカウンセラーの時給は5000円前後のところが多いので
比較すると若干低めの設定になっているかなと思います。
教育系だと常勤はまだ少ない印象を受けます。
愛知県名古屋市は、公立中学校に常勤のスクールカウンセラーが
配置されていますが、ほかの都道府県だとまだ常勤配置されている
学校は多くないようです。
福祉系
福祉系に分類されるのかどうか怪しいところですが、
厚生労働省の委託事業で、非常勤として勤務したことがあります。
また、最近では療育施設の親御さんの面談の仕事を始めました。
時給2000~3000円ほどでした。
臨床心理士の就職先、お給料、就職活動の方法『まとめ』
臨床心理士のリアルが見えたでしょうか?
働く職場によって業務内容も大きく異なります。
自分が働きたい職場の参考になっていたら幸いです。
…こうやってみると、筆者の経験はかなり偏りがありますね。
司法・矯正分野はほぼ関わったことがありません。
ぜひ、いろいろな職場を経験して、自分が「これだ」と
思う職場・職種を見つけてみてください。
・医療、保健分野
・教育分野
・福祉分野
・労働、産業分野
・司法、矯正分野
・都道府県の心理士(師)会に入会
・教授や先輩のツテ
・大学院の相談室
・実習先
・自分で探す
・医療系☞1000~2000円程度
・教育系☞2000~3000円程度
・福祉系☞2000~3000円程度
コメント